第6回: セキュリティ対策、本当に大丈夫ですか? – 中小企業が狙われる理由
- 1月30日
- 読了時間: 8分
「うちは小さいから狙われない」という危険な誤解

「サイバー攻撃?うちみたいな小さな会社は関係ないでしょ」
こう思っていませんか?
実は、これは非常に危険な誤解です。むしろ、中小企業こそが、サイバー攻撃の格好のターゲットになっているのです。
前回までで、DXの進め方や、ITサポートの活用についてお伝えしてきました。しかし、DXを進めるほど、セキュリティリスクも高まります。
今回は、見落としがちだけれど極めて重要な「セキュリティ対策」について、中小企業が直面する現実と、今すぐできる対策をお伝えします。
データが語る現実:中小企業への攻撃は増加している
まず、データを見てみましょう。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の調査によると、中小企業を狙ったサイバー攻撃は年々増加しています。
特に深刻なのが「ランサムウェア」と呼ばれる身代金要求型のウイルスです。
警察庁の統計(2024年)では、ランサムウェア被害を受けた企業のうち、約60%が従業員100人未満の中小企業でした。
なぜ、中小企業が狙われるのでしょうか?
中小企業が狙われる3つの理由
理由①:セキュリティ対策が手薄
大企業は専任のセキュリティ担当者がいて、最新のセキュリティシステムを導入しています。攻撃する側からすると、「固い」ターゲットです。
一方、中小企業は:
セキュリティ専門の担当者がいない
古いOSやソフトウェアを使い続けている
パスワードが「123456」など簡単なもの
社員のセキュリティ意識が低い
つまり、「柔らかい」ターゲットなのです。
理由②:大企業への踏み台になる
「でも、うちには盗まれて困るような情報はないよ」と思うかもしれません。
しかし、攻撃者の狙いは、あなたの会社の情報だけではありません。大企業との取引がある中小企業を乗っ取り、その取引先を攻撃するのです。
これを「サプライチェーン攻撃」と呼びます。
理由③:支払う可能性が高い
ランサムウェアに感染すると、すべてのデータが暗号化されて使えなくなります。復旧するには、攻撃者に身代金を支払うか、バックアップから復元するしかありません。
中小企業の多くは、適切なバックアップを取っていません。そのため、「業務が止まるくらいなら...」と、身代金を支払ってしまうケースが多いのです。
攻撃者はこれを知っています。
実例:取引先経由で被害を受けた製造業
東京都内のある製造業(社員15名)の事例をご紹介します。
ある日、大手取引先から「御社から不審なメールが来ているが、心当たりはありますか?」と連絡がありました。
調べてみると、社内のパソコン1台がウイルスに感染しており、そこから取引先に詐欺メールが大量送信されていたのです。
被害:
取引先への謝罪対応に1週間
感染したパソコンのデータは全て消失
セキュリティ対策の緊急導入費用:約80万円
信用失墜により、取引量が一時的に30%減少
さらに深刻だったのは、取引先の一社が実際に被害を受け、損害賠償を請求される可能性が出てきたことです。
幸い、誠実な対応と再発防止策の提示で、賠償には至りませんでしたが、社長は「会社が潰れるかと思った」と振り返ります。
この会社の問題は何だったのか?
Windows 7という古いOSを使い続けていた
ウイルス対策ソフトが更新されていなかった
社員が怪しいメールの添付ファイルを開いてしまった
バックアップを取っていなかった
つまり、基本的な対策ができていなかったのです。
よくあるサイバー攻撃の手口
では、実際にどんな攻撃があるのでしょうか。代表的なものを3つご紹介します。
手口①:フィッシングメール
「請求書を送ります」「重要なお知らせ」などのタイトルで、添付ファイルやリンクをクリックさせるメールです。
一見、取引先や宅配業者からのメールに見えますが、実は偽物。クリックすると、ウイルスに感染したり、偽のログイン画面でパスワードを盗まれたりします。
手口②:ランサムウェア
パソコンやサーバーのデータを暗号化して使えなくし、「元に戻したければ身代金を払え」と要求するウイルスです。
身代金は仮想通貨で要求されることが多く、金額は数十万円〜数百万円。支払っても、データが戻る保証はありません。
手口③:パスワード総当たり攻撃
簡単なパスワード(「password」「123456」「会社名」など)を使っている場合、プログラムで自動的に試し続けて侵入します。
侵入されると、メールアカウントを乗っ取られたり、社内システムにアクセスされたりします。
今すぐやるべき5つの基本対策
では、どうすればいいのでしょうか。高額なシステムは必要ありません。まずは、以下の5つの基本対策から始めましょう。
対策①:OSとソフトウェアを最新に保つ
Windows 10は2025年10月にサポートが終了します。それ以降は、セキュリティ更新がされないため、非常に危険です。
やるべきこと:
Windows 11へのアップグレード(無料でできる場合が多い)
ウイルス対策ソフトの自動更新設定
使っているソフトウェアの定期的な更新
対策②:強いパスワードと2段階認証
パスワードは、最低でも12文字以上、英数字と記号を組み合わせたものにしましょう。
さらに、2段階認証(ログイン時にスマホに確認コードが送られる)を設定すれば、セキュリティは格段に向上します。
おすすめ:
パスワード管理ツール(1Password、Bitwardenなど)を使う
Google、Microsoft、銀行などの重要なアカウントは必ず2段階認証
対策③:定期的なバックアップ
ランサムウェアに感染しても、バックアップがあれば復旧できます。
バックアップのルール:
週に1回は必ずバックアップ
クラウドと外付けHDDの両方に保存
外付けHDDは、バックアップ後は物理的に切り離す(ウイルス感染を防ぐため)
対策④:社員教育
技術的な対策だけでは不十分です。最も重要なのは「人」です。
社員に教えるべきこと:
怪しいメールの添付ファイルは開かない
知らない送信者からのリンクはクリックしない
パスワードを使い回さない
USBメモリを拾っても、パソコンに挿さない
月に1回、5分でいいので、セキュリティの注意喚起をしましょう。
対策⑤:専門家のサポートを受ける
「自分ではよくわからない」という場合は、ITサポート会社に相談しましょう。
サポート会社がやってくれること:
セキュリティ診断(どこに問題があるか調査)
セキュリティソフトの導入と設定
バックアップシステムの構築
社員向けセキュリティ研修
万が一の時の緊急対応
月額数千円から、こうしたサポートを受けられるサービスもあります。
IT導入補助金でセキュリティ対策

「セキュリティ対策にお金をかけたいけど、予算が...」という方に朗報です。
IT導入補助金は、セキュリティ対策にも使えます。
対象となるもの:
ウイルス対策ソフト
クラウドバックアップサービス
セキュリティ診断
社員向けセキュリティ研修
補助率は最大2/3。例えば、60万円のセキュリティ対策を導入する場合、40万円が補助されます。
万が一、攻撃を受けてしまったら?
どれだけ対策しても、100%安全とは言えません。では、万が一被害を受けたらどうすればいいのでしょうか。
初動が重要です:
すぐにネットワークから切断 感染したパソコンをネットワークから物理的に切り離します(LANケーブルを抜く、Wi-Fiを切る)
ITサポート会社に連絡 自分で対処しようとせず、専門家に任せましょう
警察に届け出 最寄りの警察署またはサイバー犯罪相談窓口(#9110)に連絡
取引先への連絡 情報が漏洩した可能性がある場合、速やかに取引先に報告
身代金は支払わない 警察も推奨していません。支払っても復旧する保証はなく、次のターゲットにされます
今日からできること:セキュリティチェックリスト
まずは、現状を確認してみましょう。以下のチェックリストで、いくつ「はい」と答えられますか?
□ すべてのパソコンがWindows 10以降またはmacOS最新版
□ ウイルス対策ソフトが入っていて、自動更新されている
□ パスワードは12文字以上で、使い回していない
□ 重要なアカウントで2段階認証を使っている
□ 週1回以上、バックアップを取っている
□ 社員に怪しいメールの見分け方を教えている
□ 万が一の時の連絡先(ITサポート会社、警察)を決めている
7つ全部「はい」なら合格です。でも、1つでも「いいえ」があれば、今週中にその対策を始めてください。
まとめ:「うちは大丈夫」が一番危ない
中小企業こそサイバー攻撃のターゲット。被害の60%は従業員100人未満
狙われる理由:セキュリティが手薄、大企業への踏み台、身代金を払う可能性が高い
基本対策5つ:OS更新、強いパスワード、バックアップ、社員教育、専門家サポート
IT導入補助金でセキュリティ対策の費用を最大2/3補助
万が一の時は、ネットワーク切断→専門家に連絡→警察へ届け出
「うちは小さいから大丈夫」ではなく、「うちは小さいからこそ、狙われやすい」。この認識を持つことが、セキュリティ対策の第一歩です。
次回は、「お客様が求めているのは『デジタル対応』です – Webとデジタルマーケティング」として、売上につながるDXについてお話しします。
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