top of page
logo (2).png

第10回: 5年後も生き残る会社になるために – DXロードマップの描き方

  • 執筆者の写真: 樋口 理一
    樋口 理一
  • 1 日前
  • 読了時間: 8分

ここまでの旅を振り返って



全10回にわたって、中小企業のためのDX入門をお伝えしてきました。

第1回では「DXとは何か」から始まり、紙とハンコの廃止、クラウドツール、ITサポート、セキュリティ、Webマーケティング、生成AI、そして働き方改革まで。

ここまで読んでくださった方は、きっと「DXって、思ったより身近なものなんだな」と感じていただけたのではないでしょうか。

さて、最終回となる今回は、「で、結局何から始めればいいの?」という疑問に答える内容です。


5年後も生き残る会社になるための、具体的なDXロードマップを一緒に描いていきましょう。


なぜ「ロードマップ」が必要なのか


「よし、DXを始めよう!」と思い立っても、多くの経営者が途中で挫折します。

その理由は、ゴールが見えないからです。

マラソンも同じです。ゴールが見えない、何キロ走るかわからないマラソンを完走できる人はいません。

DXも同じ。「いつまでに、何を達成するか」を明確にすることで、初めて実行可能になるのです。



ロードマップがないと起こること:

  • あれもこれもと手を出して、結局何も進まない

  • 投資だけして、効果が実感できない

  • 社員がついてこない

  • 途中で「やっぱり無理だ」と諦める


ロードマップがあると:

  • 優先順位が明確になる

  • 小さな成功体験を積み重ねられる

  • 社員に説明しやすい

  • 予算が立てやすい

  • 進捗が見える化される


DXロードマップを描く5つのステップ

では、具体的にどうやってロードマップを作るのか。5つのステップで解説します。



ステップ1:現状を把握する

まず、自社の現在地を知りましょう。


チェックリスト:

□ 社内の主要な業務がデジタル化されている(紙ベースではない)

□ クラウドサービスを活用している

□ 社員がITツールを使いこなせている

□ セキュリティ対策ができている

□ Webサイトがスマホ対応している

□ 顧客情報がデジタル管理されている

□ テレワークが可能な環境がある□ データを活用して経営判断している


評価:

  • 8個以上:優秀。さらに高度なDXへ

  • 5〜7個:まずまず。課題を優先順位づけ

  • 3〜4個:要改善。基本から着実に

  • 0〜2個:今すぐ着手。でも焦らずに


ステップ2:ゴールを設定する

「DXを進める」だけでは、ゴールが曖昧です。


良いゴールの例:

  • 「1年後に、書類探しの時間をゼロにする」

  • 「6ヶ月後に、問い合わせ対応時間を50%削減」

  • 「1年後に、リモートワークを週1日導入」

  • 「2年後に、Webからの新規問い合わせを月10件獲得」


ポイント:

  • 数字で測定できる

  • 期限が明確

  • 達成可能な範囲

  • 社員にもわかりやすい


ステップ3:優先順位をつける

すべてを一度にやろうとしないこと。これが最も重要です。


優先順位の付け方:


最優先(3ヶ月以内に着手):

  • 効果が大きく、実現しやすいもの

  • 社員の不満が多いもの

  • 法令対応が必要なもの


例:紙とハンコの廃止、クラウドストレージ導入、Windows 11へのアップグレード


次に実施(6ヶ月〜1年):

  • 効果は大きいが、時間がかかるもの

  • 土台ができてから取り組むべきもの


例:Webサイトリニューアル、業務システムの導入、社員教育


中長期(1〜2年):

  • 投資が大きいもの

  • 組織全体の変革が必要なもの


例:基幹システムの刷新、AIツールの本格導入、完全ペーパーレス


ステップ4:具体的な行動計画を立てる


ゴールが決まったら、具体的な行動に落とし込みます。



行動計画の例(書類探しゼロを目指す場合):


1ヶ月目:

  • クラウドストレージサービスを選定(Google Drive / OneDrive)

  • アカウント作成

  • フォルダ構成を設計

  • テスト運用開始(営業部のみ)


2〜3ヶ月目:

  • 全部門への展開

  • 紙資料のスキャン作業

  • 社員向け説明会(2回)

  • 運用ルールの策定


4〜6ヶ月目:

  • 新規書類は全てデジタル化

  • 古い書類は廃棄検討

  • 効果測定(書類探しの時間を計測)


7〜12ヶ月目:

  • 改善点の洗い出し

  • さらなる最適化

  • 次のステップへ


ステップ5:定期的に見直す

計画は、作って終わりではありません。


3ヶ月ごとに:

  • 進捗確認

  • 課題の洗い出し

  • 必要に応じて計画修正


重要なのは、完璧な計画ではなく、走りながら改善していく姿勢です。


実例:年商3億円の卸売業、2年でDX完了


東京都内のある食品卸売業(社員18名、年商3億円)の事例をご紹介します。

2年前、この会社は典型的なアナログ企業でした。FAXで受注、手書きの伝票、Excelで在庫管理...

社長は「このままではまずい」と危機感を持ち、DXロードマップを作成しました。


ロードマップ:


フェーズ1(最初の3ヶ月):基盤整備

  • クラウドストレージ導入

  • 社内チャットツール導入

  • 全PCをWindows 11にアップグレード

  • セキュリティソフト導入


投資額: 約50万円


フェーズ2(4〜9ヶ月):業務効率化

  • 受発注システム導入(FAX廃止)

  • 在庫管理システム導入

  • 電子契約の開始

  • 社員向けIT研修(月1回)


投資額: 約200万円(IT導入補助金で120万円補助)


フェーズ3(10〜18ヶ月):顧客接点のデジタル化

  • Webサイトリニューアル

  • オンライン発注システム構築

  • 顧客管理システム(CRM)導入


投資額: 約150万円


フェーズ4(19〜24ヶ月):高度化

  • データ分析ツール導入

  • 在庫予測AIの試験導入

  • モバイルアプリでの発注対応


投資額: 約100万円


2年後の成果:

  • 受注処理時間 70%削減

  • 在庫回転率 1.5倍に向上

  • 顧客満足度向上(納期短縮、ミス減少)

  • 新規顧客 20社獲得(Webから)

  • 社員の残業時間 月平均15時間削減

  • 若手社員の定着率向上


社長は「最初から完璧を目指さず、段階的に進めたのが成功の秘訣。社員も『できた!』という実感を持ちながら進められた」と語ります。


よくある失敗パターンと対策


多くの企業がDXで失敗します。その典型的なパターンと対策をご紹介します。


失敗パターン①:いきなり大きなシステムを導入

「よし、基幹システムを一新しよう!」と数千万円投資 → 使いこなせない → 放置

対策: 小さく始めて、段階的に拡大する。


失敗パターン②:社員を置き去りにする

社長が一人で決めて導入 → 社員がついてこない → 結局使われない

対策: 社員の声を聞き、一緒に進める。


失敗パターン③:効果測定をしない

導入したけど、効果があったのかわからない → モチベーション低下

対策: 必ず「導入前」の状態を記録し、「導入後」と比較する。


失敗パターン④:完璧主義

「完璧なシステムができるまで」と準備ばかり → いつまでも始まらない

対策: 60%の完成度で始める。走りながら改善する。


失敗パターン⑤:サポートなしで自力でやろうとする

「コストを抑えたい」とすべて自分で → わからなくて挫折

対策: プロのサポートを活用する。長い目で見れば安上がり。


あなたの会社の「最初の一歩」は?

では、この記事を読んだ今日、あなたの会社は何から始めるべきでしょうか。

業種や規模によって違いますが、以下を参考にしてください。


製造業の場合:

  • 最初の一歩:クラウドストレージで図面・写真共有

  • 次のステップ:生産管理システム、在庫管理のデジタル化


建設業の場合:

  • 最初の一歩:現場写真のクラウド管理、電子契約

  • 次のステップ:施工管理アプリ、協力会社との情報共有


卸売・小売業の場合:

  • 最初の一歩:受発注のデジタル化、在庫管理システム

  • 次のステップ:ECサイト、顧客管理システム


サービス業の場合:

  • 最初の一歩:予約システム、顧客管理のデジタル化

  • 次のステップ:Webマーケティング、オンライン商談


どの業種にも共通:

  • 紙とハンコの廃止

  • クラウドストレージ

  • セキュリティ対策

  • Webサイトのスマホ対応


DXは「ゴール」ではなく「手段」

ここまで読んで、もしかしたら「DXって大変そう...」と思ったかもしれません。

でも、思い出してください。


DXは目的ではなく、手段です。


目的は:

  • 社員が働きやすい会社にすること

  • お客様に喜んでもらうこと

  • 無駄をなくし、本質的な仕事に集中すること

  • 5年後、10年後も続く会社にすること


DXは、そのための手段なのです。


今日から始める3つのアクション

最後に、今日からできる3つのアクションをお伝えします。


アクション①:チェックリストをつける(今日)

本記事のステップ1にあるチェックリストに、正直にチェックを入れてみてください。

それがあなたの会社の現在地です。


アクション②:社員に聞く(今週中)

「一番時間がかかっている業務は?」「無駄だと感じる作業は?」

たった2つの質問でいいので、社員に聞いてみてください。


アクション③:一つだけ決める(今月中)

全部をやろうとしないこと。

社員の声の中から、一つだけ改善することを決めてください。

それが、あなたの会社のDXロードマップの第一歩です。


おわりに:完璧じゃなくていい、始めることが大切


全10回、ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

DXは、難しいものではありません。特別な知識も、莫大な資金も必要ありません。

必要なのは、「ちょっとずつ、良くしていこう」という気持ちだけです。


5年後、あなたの会社が「あの時DXを始めてよかった」と思える未来を、私たちは心から願っています。

そして、もし困ったことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。私たちベーシックシステムは、あなたの会社のDXを、親身にサポートします。

さあ、今日から始めましょう。未来は、今日の小さな一歩から作られます。


全10回、お読みいただき、ありがとうございました!

▼ DXロードマップ作成を一緒に考えたい方へ 「何から始めればいいか一緒に考えてほしい」「自社に合ったロードマップを作りたい」そんな時は、お気軽にご相談ください。



【中小企業のためのDX入門 全10回 完結】

第10回: 5年後も生き残る会社になるために(この記事)


株式会社ベーシックシステム

東京23区の中小企業のDXを、親身にサポートします。

📞 0120-566-666(平日 9:00〜18:00)

コメント


bottom of page