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第9回: 社員が辞めない会社の秘密 – DXと働き方改革の関係

  • 執筆者の写真: 樋口 理一
    樋口 理一
  • 1 日前
  • 読了時間: 7分

「人が辞める理由」を考えたことがありますか?



「また辞めてしまった...」 「せっかく育てたのに...」 「次の人材を探さなきゃ...」

中小企業の経営者なら、一度は経験したことがある悩みではないでしょうか。

人手不足が深刻化する今、「採用」よりも「定着」の方が重要になっています。なぜなら、採用コストよりも、教育して戦力になった社員が辞めることによる損失の方が、はるかに大きいからです。


前回までで、生成AIの活用についてお伝えしました。今回は、DXと働き方改革の関係、そして「社員が辞めない会社」を作るためのヒントをお伝えします。


データが示す現実:若手は「働き方」で会社を選ぶ


まず、データを見てみましょう。


マイナビの調査(2024年)によると、20代の転職理由のトップ3は:

  1. 給与への不満(28.3%)

  2. 働き方への不満(24.7%)

  3. 人間関係への不満(18.9%)


注目すべきは、「働き方への不満」が2位に入っていることです。


では、「働き方への不満」とは具体的に何でしょうか?

  • テレワークができない

  • 無駄な会議や資料作成が多い

  • 残業が多い(しかも、非効率な業務による残業)

  • アナログな業務が多く、時代遅れを感じる

  • 有給休暇が取りにくい

つまり、DXが進んでいない会社は、若手に敬遠されるのです。


「アナログな職場」が若手を遠ざける



想像してみてください。

面接に来た若手が、オフィスを見学して何を感じるでしょうか?


パターンA:アナログな会社

  • 山積みの書類

  • FAXが現役で稼働

  • ホワイトボードに手書きの予定表

  • 社員が紙の資料を探し回っている

  • 「これコピーしておいて」という指示


パターンB:デジタル化された会社

  • 整理された清潔なオフィス

  • 社員がノートPCやタブレットでスマートに仕事

  • 大型モニターでビデオ会議

  • スケジュールはデジタルで共有

  • 必要な情報はすぐに検索できる


あなたが若手なら、どちらで働きたいですか?


DXが働き方を変える5つのポイント


では、DXはどのように働き方を改善するのでしょうか。


ポイント①:時間と場所の柔軟性

クラウドツールを導入すれば、オフィスにいなくても仕事ができます。

  • 子供の送り迎えの日は在宅勤務

  • 台風の日は無理に出社しない

  • 取引先訪問の前後に、カフェで作業



こういった柔軟な働き方が可能になります。

「うちは製造業だから、現場がメインで無理」という声もあるでしょう。でも、事務作業や営業、設計などの部門だけでも、柔軟に働けるようになれば、そこで働く社員の満足度は確実に上がります。


ポイント②:無駄な業務の削減

DXによって、無駄な業務が削減されます。

  • 手書きの報告書 → デジタル入力で検索も簡単

  • 押印のための出社 → 電子承認

  • 会議のための資料印刷 → 画面共有

  • 在庫管理の手書きメモ → デジタル管理


これらが削減されれば、社員は本来やるべき仕事に集中できます。無駄な残業も減ります。


ポイント③:情報の透明性

クラウドで情報を共有すれば、「知らなかった」「聞いてない」がなくなります。

  • 誰が今何をやっているか見える

  • プロジェクトの進捗が共有される

  • 過去の経緯もすぐに確認できる


この「透明性」が、社員の安心感とチームワークを生み出します。


ポイント④:スキルアップの機会

DXツールを使いこなすことで、社員のITスキルが向上します。

これは社員にとって、市場価値の向上を意味します。「この会社で働いていると、スキルが身につく」と感じれば、簡単には辞めません。


ポイント⑤:成果が見えやすい

デジタル化により、業務の成果が可視化されます。

  • 売上データがリアルタイムで見える

  • 業務改善の効果が数字で示される

  • 個人の貢献が明確になる


これが、社員のモチベーション向上につながります。


実例:DXで離職率が半減した建設会社


東京都内のある建設会社(社員25名)の事例をご紹介します。

この会社は、3年前まで深刻な人手不足に悩んでいました。せっかく採用しても、1〜2年で辞めてしまう。特に若手の定着率が低く、平均年齢が年々上がっていました。


社長が社員にヒアリングしたところ、以下のような不満が出てきました:

  • 「現場写真を整理するのに毎週金曜の午後がつぶれる」

  • 「書類作成が多すぎて、現場管理に集中できない」

  • 「社長の承認待ちで仕事が止まることが多い」

  • 「有給を取りたいけど、引き継ぎが大変で取りづらい」


そこで、段階的にDXを進めました。


導入したもの:

  • クラウド型の現場管理システム

  • スケジュール・タスク管理ツール

  • 電子承認ワークフロー

  • ビデオ会議システム

  • チャットツール


2年後の変化:

  • 離職率が年間20% → 10%に半減

  • 若手社員から「他社より働きやすい」という声

  • 新卒採用の応募者が3倍に(「IT化が進んでいる」という評判)

  • 社員の平均残業時間が月20時間削減

  • 有給取得率が40% → 70%に向上


社長は「DXは業務効率化のためだと思っていたけど、一番の効果は社員が辞めなくなったこと。採用コストも教育コストも激減した」と語ります。


「働き方改革」は大企業だけのものじゃない


「働き方改革って、大企業がやることでしょ?」

そんな風に思っていませんか?


むしろ、中小企業こそ働き方改革が重要です。なぜなら:


  1. 大企業より人材獲得が難しい


    給与や知名度で勝てない中小企業は、「働きやすさ」で差別化するしかない

  2. 一人の離職の影響が大きい


    社員20人の会社で1人辞めるのは5%の戦力ダウン。大企業より深刻

  3. 小回りが利く


    社長の決断一つで、すぐに変えられる。これは中小企業の強み


今日からできる「働きやすい会社」への第一歩


では、具体的に何から始めればいいのでしょうか。



ステップ1:社員の声を聞く(今週中)

まずは、社員が何に困っているか聞いてみましょう。

匿名アンケートでも、1on1ミーティングでも構いません。


聞くべき質問:

  • 「一番時間がかかっている業務は?」

  • 「無駄だと感じる業務は?」

  • 「どんなツールがあれば便利?」

  • 「理想の働き方は?」


ステップ2:一つだけ改善する(今月中)

全部をいきなり変えようとしないでください。

社員の声の中から、一番多かった不満を一つだけ改善しましょう。

例:

  • 「書類探しに時間がかかる」→ クラウドストレージ導入

  • 「承認待ちで仕事が止まる」→ チャットツールで迅速承認

  • 「会議が多い」→ 定例会議を半分に削減


ステップ3:効果を確認して、次へ(3ヶ月後)

改善の効果を社員に確認しましょう。

「この変更、どう?」と聞くだけでいいんです。

良い反応があれば、次の改善へ。これを繰り返すだけです。


「お金をかけずに」できることもある

「DXにはお金がかかる」と思うかもしれません。

でも、お金をかけずにできることもたくさんあります。


お金をかけない働き方改革:

  • 無駄な会議を減らす(30分 → 15分、週1 → 月1)

  • 定時退社日を決める(毎週水曜は18時完全退社、など)

  • 有給を取りやすくする(理由を聞かない、1時間単位で取得可能に)

  • フレックスタイム制の導入(コアタイムだけ出社)

  • リモートワークを部分的に認める(週1日だけでもOK)


これらは、制度を変えるだけ。コストはゼロです。


社員が辞めないことの経済効果


最後に、社員が辞めないことの経済効果を考えてみましょう。



社員が1人辞めると:

  • 求人広告費:30〜50万円

  • 採用活動の時間コスト:社長・幹部の時間

  • 新人教育コスト:3〜6ヶ月分の給与 + 教育担当者の時間

  • 戦力ダウンによる機会損失

合計すると、1人あたり300〜500万円とも言われています。


つまり、離職率が下がるだけで、年間数百万円〜数千万円のコスト削減になるのです。

DXへの投資は、これと比べれば、はるかに安いものです。


まとめ:DXは、社員のための投資


  • 若手の転職理由の2位は「働き方への不満」。アナログな職場は敬遠される

  • DXで実現できること:柔軟な働き方、無駄な業務削減、情報の透明性、スキルアップ、成果の可視化

  • 建設会社がDXで離職率半減、新卒応募者3倍、残業20時間削減を実現

  • 中小企業こそ働き方改革が重要。小回りが利くのは強み

  • まずは社員の声を聞き、一つだけ改善することから始める

  • 社員が1人辞めると300〜500万円の損失。DXは社員定着のための投資


DXは、業務効率化のためだけではありません。社員が「この会社で働き続けたい」と思える環境を作るための投資なのです。

次回は最終回、「5年後も生き残る会社になるために – DXロードマップの描き方」として、これまでの総まとめと、具体的な行動計画をお伝えします。


▼ 社員が辞めない会社づくりを相談したい方へ 「何から始めればいいかわからない」「社員の本音を聞き出す方法を知りたい」そんな時は、お気軽にご相談ください。



株式会社ベーシックシステム

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